バイクのインカム使用は違法?違法となる3つのケースと安全に楽しむ注意点
ヘルメットに装着する通信機器である「インカム」は、仲間との通話や音楽再生ができる便利なアイテムです。しかし「バイクでインカムを使用するのは違法ではないか?」と不安に思うライダーも多いでしょう。
実際のところ、インカム自体の使用は合法ですが、使い方次第では法律に触れるケースもあります。本記事では、インカムの利用がどのような場合に違法と判断されるのか、具体的なケースを解説するとともに、安全に楽しむための注意点を紹介します。
【結論】バイクでインカムの使用は法律で禁止されていない

バイク用インカムをヘルメットに装着してハンズフリーで使用すること自体は、法律で禁止されていません。つまり、インカムの使用は違法ではありません。
道路交通法では、走行中の携帯電話や無線通話装置の使用を「手で保持しなければ通信できない機器」に限って規制しています。
インカムはヘルメットに固定して使用するため、手に持つ必要がなく、規制の対象外です。したがって、事前に機器をペアリング設定し、走行中に手で操作せず会話や音楽を楽しむ範囲であれば違反にはなりません。
参考
運転中のスマートフォン・携帯電話等の使用について | 沖縄県警察
バイクのインカム使用で違反になる3つのケース

インカム自体は違法ではありませんが、使い方によっては交通違反と判断されることがあります。ここでは、バイクでインカムを使用する際に注意したい3つのケースを紹介します。
【ケース1】走行中にスマートフォンを操作する
インカムそのものはハンズフリー機器ですが、接続しているスマートフォンを手に持って操作すると「携帯電話使用等(保持)」の違反になります。
たとえ会話自体はインカム越しであっても、スマートフォンを手に持って通話を開始したり、画面を注視したりした場合は、「ながら運転」として厳しく処罰されます。
二輪車の場合、保持違反には反則金1万5,000円(原付は1万2,000円)と違反点数3点が科せられます。走行中はスマートフォンを操作せず、必要な操作は必ず安全な場所に停車してから行いましょう。
参考
【ケース2】インカム機器を手で保持する
走行中にインカムがヘルメットから外れてしまい、手で持って通話や操作を行うとその時点で違反になります。
本来、固定して使用する機器を手に持てば、携帯電話を持って通話するのと同じ扱いになるためです。
インカムを装着する際は、しっかりと固定されているか事前に確認し、走行中に外れないよう注意しましょう。
【ケース3】周囲の音が聞こえない大音量で聞く
インカムで音楽を聴く際は、音量の上げすぎに注意が必要です。多くの都道府県の道路交通規則では、安全運転に必要な音や声が聞こえない状態での運転を禁止しており、イヤホンやカーオーディオの大音量も規制の対象になります。
また、片耳タイプ、骨伝導、オープンイヤー型であっても、周囲の音が聞こえない状態になれば違反になる可能性があります。判断基準は機器の種類ではなく「聞こえているかどうか」です。
音量が大きすぎると救急車や消防車のサイレンに気付けず、進路を妨げた場合は「緊急車両妨害等違反」に該当し、二輪車は違反点数1点、反則金6,000円(原付は5,000円)が科せられます。
なお、道路交通規則は都道府県ごとに異なるため、お住まいの地域のルールを確認しておきましょう。
参考
バイクでインカムや音楽を安全に利用するためのポイント

インカムで会話や音楽を楽しむことは、ツーリングをより快適にしてくれますが、走行中は安全面への配慮が欠かせません。ここでは、インカムを違反なく安全に使用するためのポイントを紹介します。
音量は控えめにする
音楽や通話の音量は、周囲の音がしっかり聞き取れる程度に調整しましょう。エンジン音、クラクション、緊急車両のサイレンなど、安全運転に必要な音を聞き逃さないことが重要です。
密閉型イヤホンは、音量を抑えていても外の音を遮りやすい構造です。インカムを使用するときは、音量を必要最小限に設定し、外音取り込み機能を活用したり、片耳だけで使ったりするなど、周囲の状況を把握できる方法を取り入れましょう。
耳を塞がない工夫をする
イヤホンの使用はできるだけ控え、使用する場合は片耳だけにとどめるか、耳を塞がない骨伝導タイプを選びましょう。耳を開放しておくことで、周囲の状況を把握しやすくなります。
ヘルメットに取り付けるスピーカー型インカムであれば、外部の音を遮らずに音楽や通話を楽しむことができ、安全面で優れているケースがあります。
操作は停車してから行う
インカムのボタン操作やスマートフォンの操作は、走行中には行わないでください。
電話をかける、音楽を切り替えるなどの操作は、必ず安全な場所に停車してから実施しましょう。
走行中にインカム本体がずれた場合も、手を伸ばして直そうとせず、一度停車してから付け直します。音楽の選曲やペアリング設定などは出発前に済ませておくと安心です。
機器の取り付けを事前に確実に行う
インカム本体や配線がしっかり固定されているか事前に点検しましょう。走行中に機器が外れてしまうと、拾おうとして視線を落としたり、片手運転になったりするなど非常に危険です。
また、先述のとおり、外れたインカムを手に持って操作した瞬間に「携帯電話使用等(保持)」の違反になる可能性があります。出発前に固定状態を確認し、安全な使い方を徹底しましょう。
周囲に配慮した運転をする
自分の安全だけでなく、周囲のライダーやドライバー、歩行者への配慮も忘れないようにしましょう。音楽を再生する場合は、周囲に音が漏れないよう音量を適切に調整してください。
音楽や会話に集中しすぎると周囲の変化に気付きにくくなるため、常にミラーや目視で周囲の交通状況を確認し、安全を最優先に運転しましょう。
インカムは技適マーク付きの製品を使う
バイクでインカムを使用する際は、「技術基準適合証明(技適)」マークが付いた製品を選びましょう。
Bluetoothなどの無線通信機能を持つインカムは、日本国内で電波を発する機器として「技適」認証が義務付けられています。「技適マーク」がない海外製インカムを使用すると、電波法違反にあたる可能性があります。
購入時には、製品や取扱説明書に「技適マーク」(技適番号を含む表示)があるかを必ず確認してください。
参考
特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則 | e-Gov 法令検索
まとめ
バイク用インカムの使用そのものは法律で禁止されておらず、違法ではありません。
安全に使用するためには、周囲の音が聞こえる状態を保つことと、運転中にインカムやスマートフォンを手で操作しないことが大切です。この2点を守らない使い方をすると、違反に問われるとともに事故のリスクが一気に高まります。
ルールとマナーを意識してインカムを使い、安心してツーリングを楽しんでください。
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